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川 ゚ -゚)クーは生き続けるようです

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:20:32.87 ID:tOBDEkHT0
マトゥメ
http://vip.main.jp/291-top.html

キョウハ 第四話 デショウカ?

2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:22:34.83 ID:tOBDEkHT0
第四話 『鉄壁』

(*;゚∀゚)「えぇ!? クックル勝手に行っちゃったのカ!?」

何処か暗い部屋の中。
比較的広い空間で、中国風の女の声が響いた。

(*;゚∀゚)「あのガキ、未来読むって言ってたヨ! やばいヨ!」
  _、_
( ,_ノ`)「落ち着けツー」

煙草の煙を吐きながら、椅子に座る男が言う。

(*;゚∀゚)「いや、渋澤さん……でも……」
  _、_
( ,_ノ`)「アイツの術式忘れたか?
     いくら未来が読めても、倒せなきゃ意味がねぇ」

(*゚∀゚)「……あぁ! なるほどネ!」
  _、_
( ,_ノ`)「それよりもそのガキが気になるな……。
     未来を読むなんぞ、どんな術式を用いても不可能なはずだ」

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:24:36.86 ID:tOBDEkHT0
(*゚∀゚)「でも、ワタシの攻撃を二度も回避しやがったですヨ」
  _、_
( ,_ノ`)「偶然とは言えねぇってわけか……何か根拠があるんだろう」

(*゚∀゚)「根拠?」

ふむ、と渋澤が少し考え込んだ。
  _、_
( ,_ノ`)「そのガキは術師なんかじゃなく、完全に一般人なんだな?」

(*゚∀゚)「見た限りはそう思えたヨ。 あの怯え方は今までに何度も見てきたネ。
    しかも腕が復活してたヨ……きっと不死女の腕をくっつけたんだヨ」
  _、_
( ,_ノ`)「『人払い』の結界を突破する力を持っていて、しかし術式を心得ているわけでもねぇ。
     そもそも素質持ってたんならツーが気付かんわけがない。
     んでもって、不死女は腕を移植する能力を持ってるっつーわけだな」

(*゚∀゚)「不思議ヨ、摩訶不思議」
  _、_
( ,_ノ`)「おもしれぇな……。
     不死女捕らえて帰るだけの任務でつまらんと思っていたところだが……」

渋澤と呼ばれた男は、陰鬱な笑みを浮かべ
  _、_
( ,_ノ`)「そのガキも一緒に拉致るか……色々と面白いことが解るかもしれねぇ」

(*゚∀゚)「さすが渋澤さんネ! 渋くてカコいいヨ!!」

その部屋に、しばらく楽しそうな笑い声が響いた。

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:27:10.14 ID:tOBDEkHT0
ギコは見ていることしか出来なかった。

川 ゚ -゚)「ふっ!」

(゜∈゜)「……!」

ギコ家の庭を舞台に二つの大小の影が動き回る。
巨躯を持つ大男に、怯えも無く立ち向かっていくのはクーだ。

その華奢な身体を圧し折るため、大男が丸太のような腕を振り回す。
対してクーは、その身の軽さを最大限に用いて掻い潜っていく。

時に防御を、時に回避を。

己の動きをパターン化させずに戦っているのは、やはり流石としか言い様がない。

右腕をなくしているとは思えない動きだ。
いや、思えないだけで確実に影響を受けてはいるのだろうが。
どこかでボロが出やしないかと、ギコは内心ハラハラしながら見ていた。

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:28:44.38 ID:tOBDEkHT0
(;,,゚Д゚)「クー……」

気絶した姉を抱きかかえ、ギコは呟いた。

何も出来ない自分が情けない。
しかし、何も出来なくて当然だと思う自分もいる。
目の前に展開されているのは、一般人が入り込むことが不可能な領域なのだから。

川 ゚ -゚)「そこだ!」

向かい来る拳に対し、立ち位置を半歩だけズラして回避する。
隙が出来た横腹へ向かって、横回転を交えた一撃を放った。

(゜∈゜)「……ッ!」

メキリ、という生々しい音。
身体の真ん中から『く』の字に折れた大男は、そのままの勢いで吹っ飛んだ。

反動を受けたクーのバランスが崩れるも、その恵まれた運動神経で見事に着地。
立ち上がると同時に、棺桶の一部が開いて薬莢が吐き出された。

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:30:42.20 ID:tOBDEkHT0
(;,,゚Д゚)「そ、それは……」

川 ゚ -゚)「杭打ち機を攻撃用に改造したギミックだ。
     打ち込んだ穂先に衝撃を与えて一撃の威力を高める。
     いちいち火薬が必要なのが面倒なのだが、その威力はなかなか良いぞ」

(;,,゚Д゚)「突撃槍じゃないのかよ」

川 ゚ -゚)「突撃機構槍と言ったはずだが。
     様々な戦況を打開するため、様々なギミックを搭載している優れモノだ」

自慢げに語るクー。
何やらよく解らないが、それだけお気に入りらしい。
まるで自慢の玩具を見せびらかすように振り回し、左肩に軽く担った。

川 ゚ -゚)「まだ迂闊に動くなよ。 あの大男はまだ生きている」

(;,,゚Д゚)「あの一撃を受けてもかよ……」

川 ゚ -゚)「人間にしては頑丈だが……それにしても異常な堅牢さだな。
     おそらく術式で防御力を上げているのだろう」

(;,,゚Д゚)「身体強化ってヤツか。 クレティウスってヤツか」

川 ゚ -゚)「後者は何か知らんが……強化術式はむしろ『気術』の分野だ。
     感じ取れた気配では、ヤツは魔術師なはずだから身体強化の類ではない。
     おそらくだが、バリアかフィールドタイプの魔術だろうな」

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:32:46.72 ID:tOBDEkHT0
(゜∈゜)「…………」

煙を裂いて現われた大男に、大きな傷は見られない。

川 ゚ -゚)「妙に堅いが、何の魔術を使っている?」

答える声は無く、代わりとしてクーを粉砕するために大男の身体が前へと出た。
再度、各々の武器を交わらせ始める。

(;,,゚Д゚)「……くそっ、俺には何も出来ねぇのかよ」

クーは不死で、大男は頑丈。
長期戦になるのは明らかだ。
どうにかして、あの防御を崩せるチャンスを作れればいいのだが――

( ,,゚Д゚)「……待てよ?」

クーの動きをよく見てみる。
大男の攻撃を回避し、その隙を見て攻撃を与えてはいるが

( ,,゚Д゚)(やっぱり、攻撃しにくそうだな)

その理由の一つとして、大男の隙が少ないことが挙げられる。
巨体から繰り出される殴打は、威力も高そうだが速度もなかなかだ。
身体についた筋肉を最大限に利用しているのだろう。

彼女に右腕が無いのも、一つの原因だと思えた。
人間の身体は左右対称になっていて、自然とバランスが取れている。
しかし右腕が無い現状、いつもよりバランスが取り辛いのだろうか、余計な動きが多い気がした。
それでも充分に戦えてはいるのだが。

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:34:40.02 ID:tOBDEkHT0
(;,,゚Д゚)(どうする……)

手が無いわけではない。
おそらく、アレを使えば隙を生み出せるはず。
しかし逆を言えば、自分の身が危なくなるということだ。

――どうする。

川 ゚ -゚)「これで!」

クーの繰り出した一撃が、激音を交えて大男の喉元を捉えた。
しかし

川;゚ -゚)「くっ……!」

不可視の何かに弾き飛ばされる。
彼女の持つ突撃機構槍が、能力を発揮する前に無効化されたのだ。
一歩二歩と、クーはバックステップで距離をとる。

(;,,゚Д゚)(あのバランスの悪さは右腕が無いせい……。
     それを奪ったのは俺……)

ならば

( ,,゚Д゚)(やっぱやるしかねぇ……!)

決まったのなら行動だ。
まず、腕に抱えるヒートを安全な場所に移さなければならない。
起こさないよう、慎重に背負って家の奥へと走った。

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:36:05.76 ID:tOBDEkHT0
川 ゚ -゚)(ギコ……?)

その様子を視線の端で見たクーは、その行動を見て軽く驚く。
下手して大男のターゲットになっては危険だというのに、何故動くのか、と。
幸い、大男は自分に集中しているようで気付くことはなかったのだが。

姉を想う気持ちが先走ったのだろうか。
それとも、恐怖の余りに安全な場所を求めたのか。

ただ、気を配る対象が減ったお陰で戦いやすくなったのも事実。
ギコの行動の意味は知りえないが

川 ゚ -゚)(ならば、何か起こる前に決着をつけてやるさ!)

目の前の大男に向かって、もう何度目になるか解らない攻撃を仕掛けた。

10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:38:19.15 ID:tOBDEkHT0
(;,,゚Д゚)「ここでいいか」

屋敷の一番奥に位置するヒートの部屋。
位置的に幸運だったらしく、大男による破壊の影響は受けていないようだ。

勝手に入るなと言われているが、緊急事態なのでスルー。
女の子の部屋にしては質素な雰囲気の中、彼女の身体をベッドへと寝かせた。

( ,,゚Д゚)「……よし」

少しだけ姉の寝顔を確認したギコは、すぐに背を向ける。
あまり長くて見ていると決意が鈍りそうだったからだ。
起こさないよう、軽い忍び足で部屋を出ようと――

ノハ#メ--)「……ギコ」

(;,,゚Д゚)「ひぇ!?」

慌てて振り向く。
ベッドの上で横になっている彼女は

ノハ#メ--)「駄目、だからね……ずっと、私達だけは、一緒に――」

どうやら寝言のようだ。
しかしその呟かれた言葉が、ギコの決心を揺るがした。

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:40:17.96 ID:tOBDEkHT0
( ,,゚Д゚)「……ヒー姉」

生まれた時から、そして両親を失ってからも、ギコとヒートはずっと一緒だった。
親戚に預けられた時でさえ、二人は互いだけを信頼した。
すぐに二人で暮らせるように画策し、いくつかの幸運に恵まれ、そしてそれを何とか叶えた。

何故なら、偽物は――

( ,,゚Д゚)「……でも」

ノハ#メ--)「――――」

( ,,゚Д゚)「いや、だからこそ……俺はアイツに返さなきゃいけない」

――偽物は、本物を越えることなど出来ないのだから。

( ,,゚Д゚)「勝手な弟でごめんな、ヒー姉。
     でも絶対にまた戻ってくるから、それまで待っててくれ」

姉の頭を撫でる。
いつもは逆の立場なので、何だか不思議な気持ちになった。

( ,,゚Д゚)「行ってくる」

帰還の言葉を残し、ギコは部屋を後にした。

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:42:56.55 ID:tOBDEkHT0
ぶつかり合った数は無数で、しかしダメージを与えた感触は皆無だった。
強固な不可視の何かに守られた大男に対し、クーは軽く舌打ちする。

川 ゚ -゚)「それにしたって堅過ぎる……しかも素手の攻撃しかしてこない、か」

ガシュ、という音と共に空薬莢が排出される。
八発全て当ててはいるが、効いているようには見えない。
棺桶の中から新しい弾装を取り出してセットする。

川 ゚ -゚)(おそらくは魔術のほとんどをバリアに使用しているのだろうな。
     素手の攻撃しかしないんじゃなくて、出来ないんだ)

単撃で一番威力が高い『杭打ち』が効かないとなると

川 ゚ -゚)(しかし何処かに隙があるはず……いや、あってほしい、か)

不死とはいえ体力には限りがある。
大男の方にもあるだろうが、やはり体格的に考えて長期戦はこちらが不利だ。
何処か弱点を発見しなければ、確実にこちらが捕らえられてしまうだろう。

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:44:53.06 ID:tOBDEkHT0
川 ゚ -゚)(術式といえど、発動には力が必要。
     その枯渇を待つ方法もあるが確実ではないな……)

あのバリア術式を完全に破壊するほどの一撃があれば。

川 ゚ -゚)「使うしか……ないか」

しかし隙がない。
アレを使うには、無防備になる時間が必要だ。
どうにかして時間を――

( ,,゚Д゚)「クー!!」

川;゚ -゚)「なっ……」

破壊されたリビングの奥から、ギコが駆け寄ってくる。
抱きかかえていた姉の姿がないところを見るに、おそらくは何処か安全な場所に置いてきたのだろう。

川;゚ -゚)「来るな! お前が太刀打ち出来る相手ではない!」

( ,,゚Д゚)「太刀打ちはしねぇから大丈夫だ!」

川;゚ -゚)「何を……というか、それは自信満々に言うことか?」

( ,,゚Д゚)「俺が囮になる! 『危険を見る力』を使ってな!」

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:46:17.48 ID:GeQedEYqO
支援

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:46:43.85 ID:tOBDEkHT0
そうだ。
彼には『危険』を見る力が備わっていた。
備わった理由は解らないが、あの力があればギコでも回避することが可能かもしれない。

弱いと思っていた敵から回避されれば、あの大男も躍起になってギコを狙うだろう。
クーの望む隙が生まれるかもしれない。

川 ゚ -゚)「だが、出来るのか?」

( ,,゚Д゚)「出来るか解んねぇけど……やらないよりはマシだろ」

川 ゚ -゚)「…………」

大男の挙動へ視線を向けつつ、クーは考える。
隙は確かに欲しいが、ギコをこれ以上の危険に巻き込むわけにいかない。
しかし、ここで負けてしまえば更なる危険が降り注ぐ可能性もあった。
どちらにしても危険なら、早急に決着がつく方が良いに決まっている。

川 ゚ -゚)「……危険だが、やれると言うのなら」

(;,,゚Д゚)「大丈夫だ。 無茶はしねぇ。
     っていうか無茶なんて出来るわけねぇよ……怖くて」

川 ゚ -゚)「それが普通だよ、ギコ」

微かに震えるギコの肩に手を乗せ

川 ゚ -゚)「だが、それを振り切ろうとするお前の姿勢は好きだ」

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:49:06.44 ID:tOBDEkHT0
(;,,゚Д゚)「……正面から言われると何か照れるな」

川 ゚ -゚)「鼓舞したつもりなのだが」

(;,,゚Д゚)「何だ、冗談かよ」

川 ゚ -゚)「違うさ……好ましいのは本当だぞ」

途端、クーが地を蹴った。
大男に対して左側に回り込むように走る。

(゜∈゜)「……!」

大男が反応しようとする。
それを見たギコは思う間もなく、身体を前へ投げ出した。

(#,,゚Д゚)「デカブツが! まずは俺の相手をしてみろやぁ!」

愚直なまでに直線上を駆ける。
それを『鬱陶しい』と判断したのか、大男の視線がギコを捉えた。

冷たい悪寒が背を走る。

あの巨大な拳に殴られれば、一撃で行動不能になるだろう。
最初に受けた薙ぎ払いよりも強力な殴打は、もしかしたら致命傷になり得るかもしれない。
むしろその可能性の方が大きい。

17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:50:48.32 ID:tOBDEkHT0
(#,,゚Д゚)「けど!」

集中する。
視界が極端に狭まり、大男の身体だけをロックオンした。

あの巨体だけを見ていればいい。
あの巨体から繰り出される攻撃だけを見ていればいい。

(#,,゚Д゚)「ゴルァァァァ!!」

射程範囲に入ったことを示すように、大男の身体が動いた。
右拳が空へと掲げられるが

――あれは、フェイクだ。

見える赤い線がそれを示した。
右拳からよりも、下げられている左拳から太い赤線が出ている。

攻撃挙動のフェイントを交えた二連撃、とギコは予測する。
右拳へ視線を向けさせ、左拳で軽い一撃の後に本命の右で打ち砕くつもりだ。

来る危険を予測した瞬間、ギコは迷うことなく右へ跳んだ。
大男の左拳が走り、高速でギコの肩を掠る。

(#,,゚Д゚)(思ったより速ぇな……!)

とても巨躯から繰り出される一撃だとは思えない。
しかしかわせない速度ではない。

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:52:37.27 ID:tOBDEkHT0
次は右だ。

天高く掲げられた大岩を思わせる拳が、ギコを圧死させんという勢いで落ちてくる。

根付いた足、捻られた腰、限界まで引き伸ばされた肩。
格闘するに当たって、一撃の威力を上げる要素を全て絡めた姿勢。

乱暴なだけの男かと思っていたが、どうやら違うようだ。
鍛え上げられた筋肉から生み出される暴力は確かに脅威だろう。
しかしそれを更に底上げするための技術も、しっかりと熟知している。

(#,,゚Д゚)「油断すると死ぬぞ、これマジで!」

声を気迫として、衝撃に苦しむ身体に鞭を打つ。
右拳から放たれる赤い線から離脱するように、背後へと跳んだ。
まるで削岩機のような攻撃が地面を木端微塵に砕く。

(;,,゚Д゚)「ちィ……!!」

まずい。
衝撃まで計算していなかった。

左腕で向かい来る破片から目を庇うも
暴力的なまでの不可視圧を喰らい、ギコは背中から地面へ落ちた。

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:54:58.59 ID:tOBDEkHT0
追い討ちをするように大男が一歩踏み出す。

寝転がっている暇などない。
一秒一秒が命に関わる状況なのだ。

(#,,゚Д゚)「こなくそぉ!」

跳ねるように立ち上がり、すぐさま移動する。
とにかく立ち止まっては駄目だ。
逆を言えば、走り回っていれば何とかなる。

そう思っていた。

(;,,゚Д゚)「!?」

大男の反応は速かった。
ギコが駆け出した先に腕を置き、ラリアットのような軌道で殴りかかってきたのだ。
不気味な横広い赤線が、ギコの胴体と繋がっている。

(;,,゚Д゚)「やばッ」

身体の重心は前へ出てしまっている。
背後には避けられず、横に避けようとも斜め前に出てしまうだろう。
姿勢を正す時間が与えられていない現状、結果は――

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:56:06.85 ID:dDGmnPtXO
支援

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 14:57:22.75 ID:tOBDEkHT0
粉砕。

そう言うに相応しい力が、ギコの身体を殴りつけた。

( ,, Д )「がっ――!?」

それは人間の力ではなかった。
踏ん張る力も何もかも、その暴力の前に打ち消される。
ギコの身体は、まるで中身の無いマネキンのように吹き飛んだ。

壁に激突し、そのまま左肩から地面に落ちる。

(;,, Д )「ぎっ……が、ぁ……!?」

息が出来ない。
口が動かない。
肺が動かない。

足と手が動かない。
腰と首が動かない。
心と体が動かない。

動くのは、痛みに反応して痙攣する節々と、震えて何が何だか解らない視界を映す目だけ。

その目で見る。
咄嗟に盾とするように前へ出した右腕の関節が、二つ増えている光景を。
しかもその内の一つの関節部から、白い何かが突き出している。

それを確認した途端、その新たな関節から焼け付くような痛みが走った。
しかし、苦しみを表現することさえも許さない役立たずの身体。

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 15:00:21.83 ID:tOBDEkHT0
結局のところ、危険が見えても回避出来なければ意味が無い。
ギコは、そんな単純で肝心なことを失念していた。
あの赤い線は『回避出来るから見える』のではない。
『避けねばならないから見える』のだ。

それに気付いた矢先、大男がこちらに向かってくるのが見えた。
手遅れ、という言葉が浮かぶ。

(;,, Д )「く、そ……ぉ……ッうぁ……・ッ」

動けない。
先ほどから溜まっていたダメージが、ここにきて臨界点に到達したようだ。

このまま死を待つのか。
いや、待つしか残されて――

「愚鈍」

それは待ち望んでいた声。

(゜∈゜)「!」

大男の真後ろで、棺桶を構えて

川 ゚ -゚)「待たせたな――喰らえッ!!」

突撃する。
左腕に抱える棺桶からは、先ほどの穂先と異なる金属片。
それは俗に言う『ドリル』という存在だった。

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 15:09:33.27 ID:xpaESUF30
しえん


24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 15:10:43.03 ID:tOBDEkHT0
身体ごとぶつかるように激突。
完全に不意打ちを喰らった大男は、一歩前へとよろけた。
続いて響くは耳障りな音だ。
棺桶の先に取り付けられたドリルが回転し、不可視の壁を貫こうと火花を散らし始める。

川 ゚ -゚)「いけ……ッ!」

それは轟音に等しい。
何らかの特殊な加工を施されていると思われるドリルが吠える。
眼前に何があろうとも貫かんという勢いだ。

パキ、という音が聞こえた気がした。

それは幻聴だったのか。
しかし確実に、彼女の放ったドリルは不可視の壁を砕こうとしていた。

不可視の壁にヒビが入る。

この表現がおかしいのは重々承知だ。
しかし、そうとしか思えない光景が展開されているのも事実。
僅かだが、クーの身体が前へと動いたのだ。

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 15:10:58.89 ID:dDGmnPtXO
しえ

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 15:12:02.39 ID:dDGmnPtXO


27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 15:12:11.75 ID:tOBDEkHT0
それはつまり、ドリルの穂先が不可視の壁を突破したことを示し――

川 ゚ -゚)「これで!」

声を荒げつつ、クーが素早く棺桶を操作する。
激音を発してたドリルが回転を止めて引っ込んだ。
次の瞬間、その出来上がった穴から――

川 ゚ -゚)「終わりだッ!!」

(゜∈゜)「!?!?」

大量の光弾が撃ち出された。
拳大のそれは高速で多段ヒットする。
バリアを抜けた攻撃が直接、大男の身体に牙を剥いたのだ。

思わずよろける大男。
再度、バリア術式を張ろうと右腕を上げるが

川 ゚ -゚)「言ったろう、貴様は愚鈍だと」

既に懐にもぐりこんでいたクーが、棺桶を大男の腹に突き立てる。

川 ゚ -゚)「――全弾持っていけッ!!」

響いた激音は八つ。
火薬を用いて威力を上げた『杭打ち』が、八度の総掛かりで大男の身体をぶち抜いた。

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 15:13:44.80 ID:tOBDEkHT0
( ∈ )「――――」

全てが撃ち終わり、風の音のみが響く。
大男の膝が地面につくと同時に、クーが背を向けた。

大きな存在が倒れる音と共に、棺桶の側部から空薬莢が八つ吐き出される。
軽い金属音を奏でながら、いくつかが地面で跳ねた。

(;,,゚Д゚)「す……げぇ……」

やっと言うことを聞き始めた身体を起こし、ギコは呆けるように呟いた。
右腕が滅茶苦茶になっていることなど忘れ去れるほど、その姿は美しかった。

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 15:15:21.49 ID:tOBDEkHT0
川 ゚ -゚)「大丈夫か? 何やら全身骨折していてもおかしくない状況だが」

(;,,゚Д゚)「あ、あぁ、何とか……」

あまり右手を動かさないように立ち上がる。

(;,,゚Д゚)「っていうか、痛みが少しずつ引いてる気がする……」

モザイクを掛けなければならないレベルに崩壊した右腕。
そのグロテスクな見た目に反し、ギコ自身が受ける痛みは少ない気がした。
もちろん、それでも歯を食いしばらなければならないほどなのだが。

川 ゚ -゚)「咄嗟に出したのが右腕で良かった。
     私の腕ならば、時間さえ掛ければ自動的に修復するからな」

(;,,゚Д゚)「な、なるほど……」

川 ゚ -゚)「これからも何か危険なことがあった場合は、右腕を盾にしろよ」

(;,,゚Д゚)「いや、でもコレはクーの腕だし……」

川;゚ -゚)「だからお前は――」

その瞬間、クーが何かに気付いたように眉を吊り上げた。

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 15:16:48.81 ID:tOBDEkHT0
(;,,゚Д゚)「!?」

彼女の背後。
月明かりの下で、倒れたはずの大男が立ち上がるのが見えた。

(;,,゚Д゚)「んな馬鹿な……!?」

あの攻撃を受けても尚、戦うというのか。
自分はもうこれ以上動けない。
まだ大男に戦える力が残っているとなれば、かなり危険なのでは――

しかしギコの予想は外れることとなる。

(゜∈゜)「……!」

地を砕きながら跳んだのだ。
そのまま庭から離脱し、逃げるように去っていく。

川 ゚ -゚)「逃がすか!」

すぐさまクーが追う。
しかし数歩跳ぶように走った後、膝をついてしまった。

(;,,゚Д゚)「お、おい?」

疑問の声が聞こえたのかは解らない。
ただ、その後すぐにクーの身体が前へと傾いた。
そのまま重力に従い、うつ伏せの状態で倒れる。

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 15:18:40.47 ID:tOBDEkHT0
(;,,゚Д゚)「クー!?」

痛みを無視して駆け寄る。
何とか動く左手で、彼女の後頭部を抱きかかえた。

息はある。
しかし、一目見ただけで『マズい』と判断出来るほど顔色が悪い。

川;- -)「う……」

先ほどまでのクーとは思えないほど、その姿は弱々しかった。

(;,,゚Д゚)「お、おい、クー! クー! 大丈夫かよ!?」

彼の悲痛な呼びかけに、答えはなかった。






――――――――――――――――― To be Continued ――――

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 15:19:00.45 ID:nQLfqUkcO
支援

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 15:19:28.13 ID:dDGmnPtXO
支援

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 15:20:00.34 ID:tOBDEkHT0
キョウ ハ ミジカイ ケド オワリ
ソロソロ オリカエシ チテン

モウイッポウ ハ モウスグ カモ ワカランネ
ツヅケテモ ヨイノカ シランガ サイゴマデ ハシッテミル

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 15:21:04.85 ID:dDGmnPtXO
乙〜^^

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 15:21:34.56 ID:xpaESUF30
ヨクワカランガ トニカクオツ

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 15:43:24.21 ID:aT1faaoFO
抗護

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/15(金) 16:02:33.12 ID:59ab5TvtO
リボルビングバンカーktkr

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