5ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

('A`)はダークヒーローのようです

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/09(木) 00:09:42.46 ID:5FAKTeiK0
オヤシロさまの正体にがっかり

2 :以下、制服さんにかわりましてムスカがお送りします。:2007/08/09(木) 00:10:20.89 ID:Sp322Mlv0
>>1
(●) ( ̄ヽ  .|
   |  | .l~ ̄~ヽ |●)
  ヽ  ̄~ ̄  /  \   |
   | (●) (      ヽ
   /  /  \●)  ノ  
 |  ヽ  ̄~ ̄ ノ   |
   |    ̄ ̄ ̄    


3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/09(木) 00:12:46.41 ID:Ljd4iOYuO
>>2
うわ…はず…

4 :以下、制服さんにかわりましてムスカがお送りします。:2007/08/09(木) 00:13:22.30 ID:Sp322Mlv0
>>3
(●) ( ̄ヽ  .|
   |  | .l~ ̄~ヽ |●)
  ヽ  ̄~ ̄  /  \   |
   | (●) (      ヽ
   /  /  \●)  ノ  
 |  ヽ  ̄~ ̄ ノ   |
   |    ̄ ̄ ̄    


5 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:13:53.34 ID:yHcU96r5O
>>1
dクス♂

遅筆杉てオレ涙目wwwwwプロットって大事!

まとめ
http://vip.main.jp/279-top.html

やっぱり( ^ω^)小説はオムライスだね!


今日は本編二話分の投下になります。

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/09(木) 00:14:13.66 ID:l4pWHPsD0
お久しぶり

7 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:15:45.35 ID:yHcU96r5O
第二十九話 戸惑い

━━煙草の煙とアルコールが、むせかえるほどにストレスを生む。

(´<_` )「……」

バーボンハウス内には、三人の兵士以外はバーテンしかいない。
かつて「ジョルジュ小隊」と呼ばれていたその兵士達の集まりは、皆が皆静かにグラスを傾けている。

(=゚ω゚)「ドクオの奴が消えたって、本当なのか?」

ぃようの言葉に反応する者はいない。
誰もが皆、気まずげに押し黙ったままだ。
ただ、時間だけが流れる。
店内に流れている落ち着いた曲調のジャズが、そのときばかりはいやに彼らの耳にこびりついた。

ふいに、兄者がグラスをテーブルに叩きつける音が強く響く。

8 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:16:13.61 ID:yHcU96r5O
( ´_ゝ`)「オレは、許さねえからな」

他の二人に背を向け、彼は静かな怒気をはらませた声を漏らした。

(´<_` )「兄者……」

兄者の向かいに座っていた弟者は、兄の背中を複雑な表情で見つめている。

( ´_ゝ`)「弟者、お前も言ってただろう。奴の独断行動で、二人も仲間が死んだんだ。絶対に許していい事じゃない」

(´<_`; )「……」

彼に、返す言葉は無かった。
ドクオのとった行動。その結果ジョルジュの命は失われ、邪神は封印された。

9 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:17:17.64 ID:yHcU96r5O
( ´_ゝ`)「結果だけ見れば、ドクオの行動は間違っていなかったのかも知れない。あのままだと、オレたちは邪神に皆殺しにされていただろうからな」

淡々と語る彼の声に含まれる押し殺した怒りの矛先は、ここにはいない「男」に向けられているのが、明確だった。

( ´_ゝ`)「だが、奴は隊長を。ジョルジュ隊長を殺した。それを許す事など…」

(´<_`; )「おk兄者、時に落ち着け。ドクオはもうこの基地にはいないんだ。だから、もういいd」

( #´_ゝ`)「やかましい!だからこそ、この怒りのやり場の無いのが余計に苛つくんだ!」

弟者のさとすような言葉を遮り、兄者の怒声が響いた。

また、沈黙が流れる。
店内に流れるジャズは、物悲しいメロウな曲調へと知らぬ間に移っていた。
美しいピアノの音が、ジュークボックスから切なげに流れる。

ふと、ぃようが呟いた。

(=゚ω゚)「でもよ、ドクオの奴……泣いてたよな」

グラスの中を見つめる彼の表情は、苦虫を噛み潰したようなもので。

(=゚ω゚)「あの涙は……間違いなく、本物だったぜ」

その言葉は、静かにバーボンハウスの空気に溶け込んでいった。

10 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:18:16.95 ID:yHcU96r5O
━━ドクオ逃亡。

その報告を聞いても尚、ショボンは別段慌てふためく事も無く、執務机の上で書類と睨み合いを続けていた。

( ;・∀・)「どうするんですか、大将。彼が居ない今、最早我々は邪神の驚異に立ち向かう術をもう持たない。このままでは……」

モララーの顔には、明らかに冷や汗とわかる滴の群が浮いている。

(´・ω・`)「それは一大事だね。とりあえず、一個大隊規模の捜索隊を編成して、すぐにでも彼の捜索にあたってくれ」

書類から顔を上げずにそう言い放ったショボンに、モララーは戸惑った。

( ;・∀・)「…随分と、冷静ですね」

不気味なものでも見るような彼の視線に気付いたのか、ショボンはゆっくりとその顔を書類から上げる。
血のように真っ赤なその双眸は、何を考えているのかわからないような妖しげな光に濡れるように輝いていた。

(´・ω・`)「取り乱して、何か得な事でもあるのかな?こういう時、指揮官が冷静でいないといけないのは常識だよ。
そんなのは、三つのガキでもわかる事さ。分かったら、早く兵士達に通告するんだ。早くしないとぶち殺すぞ」

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/09(木) 00:18:59.02 ID:d7ZA+r8aO
携帯の神様乙
wktk支援


12 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:19:29.03 ID:yHcU96r5O
その言葉に、室内の体感温度がぐっと下がるのをモララーは確かに感じた。
いつも温和なショボンからは想像もつかないような、その殺伐とした口調に知らず知らずのうちに鳥肌がたつ。

( ;・∀・)「わ、わかりました。すぐにでm」

(´・ω・`)「返事はいいからさっさと行け」

怒鳴るでも無く、激昂するでも無く、ただ無機質な言葉を吐く彼の異様な威圧感に、モララーは慌てて敬礼すると大将室を後にする。

扉を後ろ手に閉め、それにもたれ掛かると、安堵の溜め息がこぼれた。

( ;・∀・)「…大将が、お怒りとは。これは相当だな」

いつもの飄々とした態度を、自分のアイデンティティを取り戻そうと軽口を叩いてみたが、それも功を成さない。
何よりモララーを畏怖させたのは、ショボンの言動から発せられたあの「氷のような威圧感」だった。
決して常人には発する事もできないような、不気味な圧迫感。

彼は以前、一度だけそれを味わったのを覚えていた。

( ;・∀・)「……あれはまるで、ドクオのようだ」

口にして、改めて寒気が全身を駆け巡るのを体感する。

( ;・∀・)「やはり彼には、何かある」

そう呟きながらも歩き出す彼の背中は、まだ震えていた。

13 :以下、制服さんにかわりましてムスカがお送りします。:2007/08/09(木) 00:20:06.71 ID:Sp322Mlv0
(●) ̄ ̄~  |
   | シ(●) (      ヽ
   /  /ヨボ  \●)  ノ  
 |  ヽ  ̄~ ̄ んノこわい

14 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:20:48.97 ID:yHcU96r5O
━━モララーが退室したのを確認すると、ショボンは軽く舌打ちをした。

(´・ω・`)「やれやれ。彼の勘ぐり好きにも困ったものだ」

その言葉は、誰に向けられたものかは明確だった。

(´・ω・`)「まぁ、どうでもいいか」

しかし大して気にもとめていないかのように、彼は表情を変えると立ち上がって伸びをした。

(´・ω・`)「色々と面倒が多くて困るな、お偉いさんなんて立場は」

一人ごち、ぼんやりと戸口を見つめる。
官僚職お約束のルーチンワークも、救世主脱走の後始末にも彼は辟易していた。
彼にとってそのどちらも、さして重要な意味を持たない空虚なものでしか無い。

(´・ω・`)「少々、休憩でもいれるか」

そう呟くと、彼はまた大きな伸びを一つして大将室の扉を開けた。

━━━━━

酒は夜の嗜み。それがショボンのルールだ。
よって、今彼は自販機の前で柄にもなくコーヒーを啜っていた。
いつもなら執務室据え置きのコーヒーメーカーで、眠気と疲れを払拭するのだが、今日は気分転換も兼ねて一般兵士のように缶コーヒーを飲む事にした。
隣の自販機では、紙コップでコーヒーを販売しているようだが、彼は「缶コーヒー」にこだわってみる事にした。

15 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:21:50.45 ID:yHcU96r5O
自販機の前にぽつねんと配置されているベンチに腰掛け、ちびりちびりとスチール缶からカフェインを摂取する。
執務室で飲むコーヒーとは違い、庶民的でチープな味が彼の味覚を楽しませた。

(´・ω・`)「缶コーヒーなんて、何年振りかな」

やはりこっちの方が自分には合うと、しみじみ思う。
そんな懐かしい味が、思い出のアルバムのページを開いたのだろうか。
ふと、彼は高校時代の事を思い出した。
真っ先に浮かんだのは、ブーンとツンの夫婦漫才。
そして、それを茶化すクールな少女。

『君は察しがいいな。それに聞き上手だ』

彼女の言葉がフラッシュバックする。

『将来はカウンセラーか、バーのマスターなんかになったらいいんじゃないか?』

(´・ω・`)「バーのマスターか……確かに、実家はバーだしその方が良かったかもね」

自嘲気味に呟いた彼の表情は、どこか寂しげで。

(´・ω・`)「クー……」

思わず、その名前が口から零れてしまう。

(´・ω・`)「やれやれ…自分に同情するなんて。僕らしくないな」

また自嘲し、立ち上がる。
いや、立ち上がろうとして。

16 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:23:11.79 ID:yHcU96r5O
立ち上がろうとして、彼は視界のはずれに彼女を見つけた。

(´・ω・`)「クー……!?」

物憂げな表情。
憐憫に満ち、どこか遠くを見つめるような瞳。
柳のような静かな佇まい。
その全てが彼の中で重なって、追憶が飽和量を超えて溢れ出す。
思わず、彼はその「彼女」の肩を掴んでいた。

ノパ听)「……大将?」

だが、そこに居たのは彼が求める人物とはあまりにもかけ離れた人物。

(;´・ω・`)「あ、あぁ、ヒート君か」

ばつが悪そうに、ショボンは掴んだヒートの肩から手を離す。
自分でも病んでいるな、と気が滅入った。

17 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:23:56.14 ID:yHcU96r5O
ノパ听)「どうしたんですか?」

怪訝な表情をするヒート。

(´・ω・`)「いや、別にこれといって用は無いんだが。ただ、君が何か落ち込んでいるようだったからね」

ヒートをごまかしながら、我ながら上手い言い訳だなとショボンは思った。
そんな彼の内心など、ヒートには知る由も無いのだろう。

ノパ听)「え?あ、いや…まぁ、ちょっと」

ショボンの言葉に、歯切れの悪い調子でヒートは口ごもった。

(´・ω・`)「ジョルジュ君の事かい」

18 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:25:08.82 ID:yHcU96r5O
自分の傷跡から目を背けるように、ショボンはヒートへと思考をシフトさせていく。

ノパ听)「……」

ヒートは俯いたままだ。
珍しく覇気の感じられない彼女は、誰が見ても落ち込んでいるのがわかる。

(´・ω・`)「その件は、本当に残念だったね。本当に惜しい男を失ったよ。彼は、兵士としても人間としても実に立派な男だった」

上官として、お決まりの台詞だなと思いながらも、もっと気の利いた言葉をショボンは探してみた。

(´・ω・`)「しかし、悲しんでばかりもいられないよ。僕達は……」

そこまで言って、案外自分は語彙が少ないのだなと、ショボンは気付く。
思わず、彼は目を伏せた。

だがヒートは、首を振る。

ノパ听)「違うんです。それも…有りますけど…その、ドクオが……」

絞り出すような彼女の言葉に、ショボンは目を少し見開いた。

(´・ω・`)「あぁ……話しは聞いているよ」

ジョルジュの死。その責任が自分に有るとして、ドクオはこの基地から姿を眩ましたという事は聞いていた。

(´・ω・`)「彼の事は、捜索隊が探している最中だ。人類の救世主なんだ。必ず探し出して、連れ戻すよ」

19 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:25:57.76 ID:yHcU96r5O
その言葉にも、ヒートは物悲しげな表情を変える事は無かった。
そんな姿が、やはり「彼女」に似ていたのだろうか。
再び、ショボンの胸を何かが締め付けた。

(´・ω・`)「だから、君は何も心配しなくてもいいんだ」

そう言うショボンの傍らで、ヒートはただ静かに窓の外を見つめている。
普段の彼女の姿とあいまって、一段と儚げなその姿をショボンは美しいと思った。

ノパ听)「あいつ……下手に気を使いやがって」

ヒートの呟きはショボンを置き去りにして、窓の外に広がる荒廃した世界のどこかへと、落ち葉のように散っていくようだった。

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/09(木) 00:26:27.72 ID:v1mlUF/pO
おー!久しぶりだなぁ!
また前みたいな更新ペースを期待してるぜ!

21 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:27:06.21 ID:yHcU96r5O
━━主のいない部屋は、無駄な装飾で虚ろな煌びやかさを保っていた。
綺麗に片付けられた内装は、しぃが整えたものでは無い。
案外ドクオはきれい好きなのかも知れないなどと、彼女は下らない事を考えた。

(*゚ー゚)「……」

異常なまでに生活感の無いこの部屋からは、つい先日まで一人の男が暮らしていたなんて事を想像する事はできなかった。

(*゚ー゚)「ねぇ、ドクオさん」

言葉とは、会話の為の道具。
かける相手の無いそれは、意味のないもの。

(*゚ー゚)「何も、ここから逃げ出す事なんて無かったんですよ」

しぃは、しわ一つないベッドの上に腰を下ろすと、改めて室内を見渡した。
豪奢なクローゼット、大理石の床、電源のついていないデスクトップPC。
そのどれからも、やはりドクオの存在は感じられない。

(*゚ー゚)「ドクオさんは、この時代では一人ぼっち。いわば、あなたは外国人みたいなものだったんじゃないですか?」

聞くものの居ない言葉は、独白。

(*゚ー゚)「ドクオさんが聞いたら怒るでしょうけど……きっと、寂しかったんじゃないですか?」

22 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:28:06.24 ID:yHcU96r5O
しぃは、くすりと笑う。

(*゚ー゚)「だから、私は出来るだけドクオさんと仲良くなってあげたかった」

そこまで言って、しぃはふっと自嘲気味に頬を歪めた。

(*゚ー゚)「なんだか、随分と偉そうな事言ってますね、私」

(*゚ー゚)「でも、自己満足かもしれないけど、ドクオさんと仲良くなりたかったっていうのは本当ですよ。私の、本当の気持ち、です」

窓の外には、夕日が輝いている。
いや、「輝く」という表現は、些か似合わない。
落日は毒々しい色合いで、世界を照らしていた。

(*゚ー゚)「あ、仲良くなりたいっていうのは、その……好きだとかそういうのじゃないんです。
ただ、ドクオさんの居場所になれたらなぁなんて」

でも、と付け加える。

(*゚ー゚)「結局、ドクオさんの事を一番良く分かっていたのは、ジョルジュさんだったんですよね。
あはは、私の出番なんて最初から無かったみたいです」

そこで言葉を途切らせ、しぃは自分の膝に目を落とす。
俯きながら、少しの沈黙。

(*゚ー゚)「早く、帰ってきて下さいよ……」

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/09(木) 00:28:37.13 ID:KN46L14VO
支援

24 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:28:57.10 ID:yHcU96r5O
平坦な表情は、何を思っているのか。
平坦故に、その表情の奥底にある複雑な気持ちは、計れない。

(*゚ー゚)「なーんて、あの時私が引き止めていれば何も問題なんか……無かったんですけど、ね」

最後の言葉をふざけた調子で音にすると、しぃは後ろ向きにベッドへと倒れ込む。
窓の外はもう日が落ちて、代わりに夜の帳が降り始めていた。

25 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:30:09.79 ID:yHcU96r5O
第三十話 導き

混濁した意識の底で、何かが渦巻くような気がして、ブーンはそっちへ目を向けた。

( ^ω^)「……真っ暗、だお」

気付けば視界は閉ざされ、目に映るものは何も無い。
感覚だけの、奇妙な世界。そう表現すると、何やらしっくりいくような気がした。

「……あなたは?」

そんな奇妙な空間に、突然声が響いた。あぁ、音は存在するんだなぁとブーンは考える。

「聞こえてるの?」

再度、声がする。
どうやらブーンに語りかけているようだ。

( ^ω^)「聞こえてるお」

返事をすると、途端に莫大な渦がブーンの頭の中を駆け巡った。
痛い、苦しい、そんな泣き叫ぶような声が、渦を巻いてブーンの頭の中を掻き回す。

26 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:30:51.66 ID:yHcU96r5O
( ;゚ω゚)「あばばばばば!」

苦しみと、暖かさの入り混じったそれは、どちらかというと痛みの方が強くて、彼は不確かな自分の体の感覚に、涙が滲むのをぼんやりと体感した。

「私の声が、聞こえる?」

声は、二重の螺旋のようにブーンの鼓膜と脳髄双方を震わせ、響く。

( ;゚ω゚)「聞こえてるお!聞こえてるから止めてくれお!痛い痛い痛い痛い痛い痛いおぉ!」

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/09(木) 00:31:01.63 ID:rgVucWRQO
わかった!

要するに他のまとめサイトは糞ってことなんだ!








死ね

28 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:32:16.71 ID:yHcU96r5O
泣き叫び、ひざまずき、懇願すると、苦痛の波は徐々に引いていき、後には閉ざされた視界と不確かな体の感覚が残るのみとなった。

「それじゃあ、私の言う事を聞いてくれる?」

脳髄が勝手に喋り出すかのように、ブーンの頭の中で言葉が生まれた。

( ゚ω゚)「構わないお」

声との不思議な一体感の中で、ブーンは頷く。
その胸を、見覚えの無い贖罪と後悔の念が、ちりちりと舐めるように焼き。

「有難う…それじゃあ、先ずはここから出ましょう。行き先は……」

( ゚ω゚)「わかっているお」

ブーンは、暗闇の中で立ち上がる。
不確かな体の感覚は消える事は無かったが、塞がれた視界はその明るさを取り戻していた。

ベッドのシーツを直すこともせず靴を履くと、彼は医務室を後にした。

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/09(木) 00:33:07.83 ID:y5Pw+63R0
何このすれ?????

30 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:33:21.73 ID:yHcU96r5O
━━オーパーツと言う言葉が有る。

遺跡などの出土品において、その時代に有るはずの無いものの事を指す単語。
ツンは今、その言葉を思い出していた。

ξ゚听)ξ「……どこにも載ってないじゃない」

彼女はあれから、貪るようにブラインドガーディアンのページを繰っては、魔術に関する項目が無いかを虱潰しに探した。
だが、ツンが求めるよう魔術の起源や行使方法はおろか、この禁断の百科事典には魔術の「ま」の字も出てくる事は無かった。
頭から尻まで読破して、彼女がブラインドガーディアンから得られた知識はこうだ。

━━今現在存在する全ての動植物の始祖は、太古の昔に邪神達の細胞が何らかの拍子に分裂し、それが一人歩きの進化の末に、一つの種として独立した生態系を形作ったものである。
邪神達やその下僕である化け物達は、それら捕食する食物連鎖の頂点に立つ存在だ。
人間は、その絶対的な彼らの存在に恐れおののき、ひれ伏し、「神」として崇拝しては、空腹による彼らの怒りを沈める為に、定期的に生け贄を差し出していたという。
「マリアの子」達は、そんな人間達と共存し、邪神の血を最も色濃く受け継ぐ存在として、人間達を統率する支配者の地位を確立していた。

31 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:34:45.90 ID:yHcU96r5O
――これが、ブラインドガーディアンの大まかなあらすじだ。
後は、邪神の下僕や吐き気を催す化け物達の生態や体内構造等、まるで空想怪物図鑑のような内容でしかない。

ξ゚听)ξ「それじゃあ、魔術は一体どこからきたの?」

疲れきった眼球に潤いを与える為、繰り返しまばたきをするツン。
疑問が消える事は無かったが、それよりもブラインドガーディアンを読み進めている間は全然気付きもしなかった、「時間の流れ」をやっと意識する。
手鏡で自分の顔を見ると、目の下にはかつて見たことも無いほどのクマができていた。

何日ぐらい、この研究室で昼夜を過ごしたのだろうか。

日にち感覚が曖昧すぎて、霞がかった記憶を頼りにしてみるも、なかなか思い出せなかった。

それ程この書物に没頭していたという事になるのか。

ξ;゚听)ξ「あ、そういえば!」

研究室で何日をも明かす、という事は自宅に帰ってない、という事だ。

ξ;゚听)ξ「やばっ、ミセリ置いてきたまんま……」

その事に気付いたツンは、慌てて席を立つ。
異常なまでに長い時間、椅子に座っていたため体の至る所が悲鳴を上げた。

32 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:35:49.74 ID:yHcU96r5O
━━それは、見渡す限り一面荒野の中に忘れ去られたかのように、ぽつねんと建っていた。

一見するとただの廃墟。

从゚∀从「ここが、私『たち』の家です」

先に立って扉を開けたハインリッヒが、ドクオを振り返った。

('A`)「こんな所にこんな家があったなんてな。意外だ」

だが、朽ち果てた外見とは打って変わって、内装は驚くほどまともだった。
全体を通してきちんと掃除が行き届いており、家具や壁は古ぼけてはいるものの、痛んだところは無い。
ハインリッヒはそのまま、お茶を用意すると言って奥へと入って行く。
その後ろ姿を見送りながら、ドクオはゆっくりと家の中を見渡した。
小さなカントリーソファーの前には、これまた小さな木製のテーブル。
窓から漏れる陽光は、落日の朱色を帯びて。
木の温もりを感じさせるような壁には、ハインリッヒが編んだのだろうか、鳥のタペストリーが二、三かけられている。
どこか、暖かいような気持ちにさせてくれる。そんな印象を、この家はドクオに与えた。

从゚∀从「お待たせしました。紅茶で良かったですか?」

33 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:37:02.77 ID:yHcU96r5O
声に振り返ると、ハインリッヒが木のトレンチに湯気のたったカップを、二つ乗せてやってくるところだった。

('A`)「あぁ、構わない。これは全部お前がやったのか?」

トレンチからカップを手に取りつつ、ドクオは部屋の中を見回す。
カントリー調に統一された内装は、センスの良い部類に入るだろう。

从゚∀从「え、えぇ、まぁ」

トレンチをテーブルの上に下ろしながら、ハインリッヒはぎこちない返事を返した。

从゚∀从「あの……気に入りませんでしたか?」

彼女は恐る恐る、ドクオの反応を伺いながら尋ねる。

('A`)「いや、いいんじゃないか。なかなかに、センスがある。暖かい感じがして、オレは好きだ」

カップから紅茶をすすりながら、ドクオは今一度部屋を見渡す。
その言葉に、ハインリッヒの顔は忽ち明るくなった。

从*゚∀从「ほ、本当ですか!?」

花が咲いたような笑みを浮かべ、ドクオの顔をその屈託の無い少女のような瞳で見つめる。

(;'A`)「ん、あぁ」

そんなハインリッヒの豹変ぶりに、多少面食らったのだろう。
ドクオは些か上体を仰け反らせながら、思い出したかのように咳払いをした。

34 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:38:08.91 ID:yHcU96r5O
('A`)「それで、話しは変わるんだが……」

从゚∀从「あぁ……オリジン様の、記憶について、ですね」

ドクオのその言葉に、ハインリッヒは幾分か表情を暗くした。

('A`)「お前は、オレの何を知っているんだ?全部、話してくれるんだろう?」

ジョルジュの死に打ちのめされ、失意の海に沈むのを任せていたドクオの下に彼女が現れたのは、ドクオにとって迷い子に手を差し伸べるまさに救世主の降臨と同義だった。

自分が全てあなたの空虚な穴を埋める。

そう、彼女はドクオに言ったのだ。

从゚∀从「はい、勿論知っている事は全部お話しします。まずは、何からお話しすればいいですか?」

ティーカップを置き、ハインリッヒは腹のところで指を組み、ドクオは背もたれから身を離し、前のめりになる。
お互い、話す体制は整ったところで、ドクオが口を開いた。

('A`)「まずは、そうだな、オレが何者であるのか。それを教えてくれ」

救世主。邪神を唯一封印する事ができる人物。簡単には死なない。ドクオ自身が知っている事は、これぐらいしか無い。
自分は何者なのか。それは、ドクオにとって一番重要な事だった。

35 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:38:55.54 ID:yHcU96r5O
それをハインリッヒは知っているのだろうか。いや、それすら知らないのなら、彼女がドクオをわざわざここに転移魔術で連れて来る筈が無い。

从゚∀从「わかりました。お答えしましょう」

そのドクオの思いに応えるように、ハインリッヒはゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。

36 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:39:54.65 ID:yHcU96r5O
━━空は黄昏を映し、千切れ行く雲は千の欠片になって空を飛ぶ。
合間から覗く太陽の光は、不安をいざなう呼び水のようだ。

( ^ω^)「……」

ブーンの足は、止まる事を知らないかのように、一歩また一歩と交互に休みなく前へと踏み出される。

「感性が豊かなのね、あなた」

あの声が、ブーンの頭の中に響く。
初めの頃の一体感は幾分希薄になりかけているが、彼の体を動かす使命感とは違った感情は、居座り続けたままだ。
どちらかと言えば同情に似ているだろうか。恐らくは、そう表現するのが一番適切だろう。

「正直、もう諦めていたのよ」

あの時、ブーンの脳内を駆け巡ったのは、膨大なまでの風景。そして哀しみ、後悔、懺悔、贖罪、その他諸々。
それは重く、苦しく、そして何より暖かかった。

( ^ω^)「……僕は、お人好しだお」

何重にも蜷局を巻くように、しがらみや責任がその暖かさを縛り付けていた。
とき放たれる事の無い、悠久の束縛はどれほどに辛かったことだろう。と、ブーンは考える。

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/09(木) 00:40:27.39 ID:QPEoFfihO
支援

38 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:41:34.90 ID:yHcU96r5O
「本当に、お人好しね」

声の調子は、呆れているようにも聞こえる。

「簡単に、私の事を信じていいの?」

( ^ω^)「おかしい事を言うお。あんたが勝手に僕の頭に訴えてきたくせに」

歩く速度を緩めず、彼は口を開いた。

「そうだけど……」

声の調子には、幾分ためらいが見えた。

( ^ω^)「何にしても、あんなもの見せられたら、あんたに同情せざるを得ないお」

ちりちりと、胸の古傷が痛みを訴えたような気がした。

( ^ω^)「僕も、大切な人を守れなかった事の辛さは痛い程にわかるお。とても、他人事に思えないお。
いや、他人事じゃないお。これは、僕たちにもとても関係がある事だお」

彼の脳裏を、かつての親友の顔がよぎって、消えた。

39 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:42:03.07 ID:yHcU96r5O
( ^ω^)「だから、あんたに協力するお」

踏みしめる土の感触を、確かめるようにブーンはしっかりと力強く歩を重ねる。

「……有難う」

頭の中で響く声は、呟くように微かなものだったが、もしもこの声の主に顔があったならば、きっと涙ぐんでいただろう。その呟きは、そう伺えた。

( ^ω^)「僕が出来る事なんて、たかが知れてるけど」

40 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:44:14.11 ID:yHcU96r5O
ブーンの呟きには自嘲の色。

「話は変わるけれど、あの子は置いてきて良かったの?」

あの子とはツンの事だろう。
結局、ブーンはツンには何も言わずに医務室を後にしてきたのだ。

( ^ω^)「ツンは……ダメだお」

ブーンはにこやかな顔。いつも絶やさない笑顔。
彼の特徴であるその笑顔は、いつもと変わらず春の陽光のように穏やかだ。

「何故?」

( ^ω^)「ツンには……僕が知ったような、残酷な真実は伝えたくないお」

穏やかな顔。脳天気だね、などと言われてもしょうがないような、笑顔。
しかし、彼の言葉には確かな「意志」と「覚悟」。

( ^ω^)「あんたみたいな卑怯者に、僕はなりたくないお。
だから、『これ』は僕一人で……背負うお」

その言葉に、声は何を思ったのだろう。
奇妙な二人の間に、奇妙な沈黙が訪れる。

ブーンはただ、黙々と歩き続けるだけだった。

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/09(木) 00:48:48.48 ID:v1mlUF/pO
支援

42 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 00:52:07.58 ID:yHcU96r5O
今日の投下はここまでー!

支援&wktkしてくれた皆さん、毎度有難うございます。
以前の執筆速度は、リアでの生活を犠牲にしていたものなので、お盆辺りはまた以前のような状態に戻れるかも。

まとめサイト云々と、途中にありましたが、別にオムライス氏を贔屓にしているわけではなく、単純な謝辞の言葉だという事を、ご理解いただければ幸いです。

では、質問、批評、突っ込み、リクエストなど有りましたらドゾー!

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/09(木) 00:56:05.10 ID:v1mlUF/pO
乙!

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/09(木) 00:57:07.72 ID:rgVucWRQO
失言だったな

まぁ、乙と言っておく

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/09(木) 01:01:28.07 ID:QPEoFfihO


46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/09(木) 01:02:54.55 ID:eOu3S+l20
失言は後々残るぞw
乙!

47 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 01:04:35.43 ID:yHcU96r5O
>>44
いえいえ。自分が誤解を招くような書き方をしてしまった事がいけなかったので、おきになさらないで下さい。


さぁ、そろそろ物語も結末へと近づいております。
溜まりに溜まった外伝や、回収してない伏線にハラハラしながらも、僕はまた夜更かしをしてしまうんだなぁ。

夜はやっぱりテンション上がるNE!

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/09(木) 01:19:32.29 ID:5FAKTeiK0
おつー!
スレ立て代理したはいいけど、俺・・・今まとめ読んできたんだぜ!

49 : ◆/ckL6OYvQw :2007/08/09(木) 01:22:31.16 ID:yHcU96r5O
>>48
それは逆にこっちが乙と言わざるを得ないwwwww
無駄に長い奇天烈な話しだが、できればこれを機会に最後まで読んでくれると、オレが喜ぶんだぜwww

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/09(木) 01:27:24.67 ID:5FAKTeiK0
楽しみにしてるぜー
カッコイイ\(^o^)/見たの初めてかもしれんww

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/09(木) 01:38:52.35 ID:PPp33J1eO


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/09(木) 01:39:41.83 ID:VineFQBT0


28 KB
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

read.cgi ver 05.04.02 2018/11/22 Walang Kapalit ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)